ことあげに めはひたりより
をはみぎに わかれめくりて
あふときに めはあなにえや
ゑをとこと をはわなうれし
ゑをとめと うたひはらめど
つきみてす ゑなやふれうむ
ひよるこの あはとながるる
これもまた このかずならす
あすふねに ながすあはちや
あるかたち あめにつくれは
ふとまにお あちはゑいはく
ゐよのうた ことおむすはず
ことあけも めはさきたてず
とつきとは めのにはなふり
をゆれなく をとりなきさる
またあるひ をとりよそおふ
めがしりて あひましなれは
あめよりぞ とりにつけしむ
とつきのり さらにかえりて
ふたかみは あらたにめぐり
をはひたり めはみぎめくり
あひうたふ あめのあわうた
あなにえや うましおとめに
あいぬとき めかみこたえて
わなにやし うましをとこに
あひきとぞ
こうしてイサナミは左、イサナギは右へ分かれて柱を巡り出会ったところで、イサナミは「アナニエヤ ヱヲトコ」と言い、応えてイサナギが「ワナウレシ ヱオトメ」と言いました。
この様に歌って身篭ったのですが、早産してしまい、育てることが出来ませんでした。
この「ヒヨルコ」が生まれたのは淡路の宮殿です。 育たず「泡」と流れたから淡路と名付けられたのかもしれません。「ヒヨルコ」は子の数に数えられず、葦舟に乗せられ天上に送り届けられました。
この経緯を「天(あめ)」(トヨケ大神が
預かる国政議会)に告げたところ、フトマニで占って次のような分析結果を答申してきました。
「儀式の時に歌った五四の歌(五四調で歌った九音の歌)はコト(事・九十)を結ばない(十音目がない)不吉のリズムで、また女神の方から先に声をかけたのが良くない。婚姻の男女関係をニハナブリ(鶺鴒)の仕草に学んでください。」
という事で、両神の宮の庭に二羽の鶺鴒がやってきてメスが尾を振って鳴きながらオスを誘うとオスは鳴き声を発して飛び去ってしまいました。またある日、オスが装いを表しているのをメスが察知して初めて鶺鴒は交わる事ができたのです。
この様に動物界普遍の法則である男女の道、すなわち「トツギノリ(嫁ぎ法)」を両神は鶺鴒を介して伝授され、これに則って儀式をやり直しました。
今度は男神が左から、女神が右から柱を回り出会った時に男神が歌いました。「アナニヱヤ ウマシオトメ二 アイヌ」これに対して女神が「ワナニヤシ ウマシヲトコ二 アヒキ」
古事記では同様の記述がある女神から先に声をかけると失敗し、男神から声をかけて成功する話でした。
道教・陰陽道などの思想にもリンクする全てのものは二極からなる考え方、男は陽であり天・先・左でもあり、女は陰であり、地・後・右である。
先である男が「ア」で始まる歌を歌い後に女が「ワ」で始まる歌を歌う。
始めと終わりを表す「ホキ」や、もっとずっと後の時代に現れる前方後円墳にも見られる思想が既にイサナギ・イサナミの時代から存在していたことが理解出来ました。
またヒヨルコの記述から日本書紀にヒルコが2回出てくる謎も少しわかってきましたね。
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