かなさきに きつさねのなの
ゆゑおこふ をきなのいわく
ひのいづる かしらはひかし
たけのぼる みなみるみなみ
ひのおつる にしはにしつむ
ワカ姫はカナサキに東西南北(キツサネ)の名の由来を尋ねた。
太陽が昇る方角を太陽の頭=日の頭(ヒガシら)と言い、どんどん昇って全てのものを明るく照らす事で皆が物を見れるようになる方角を皆見(ミナミ)、燃える様に赤くなった太陽が沈む方角を煮え沈む(ニえシずむ)と呼ぶ様になりました。
章のタイトルにもある方角の話が出てきました。東(キ)西(ツ)南(サ)北(ネ)と一文字での読み方と現代のヒガシ・ミナミ・ニシと呼ぶ様になった理由がよくわかりました。
よねとみづ かまにかしくは
ひかしらや にゑはなみなみ
にゑしつむ ゑかひとたびの
みけはこれ ふるとしふより
つきみけの ひとはもよろに
つきむけの ひとはふそよろ
いまのよは ただふよろとし
いきなるる みけかさなれば
よわひなし ゆえにをんかみ
つきにみけ にかきはほなや
みなみむき あさきおうけて
ながいきの みやのうしろお
きたといふ よるはねるゆゑ
きたはねぞ
釜に米と水を入れて炊く時も同じで、
初めは火頭(ヒガシら)が釜に届く様に火を強めていき、炊きあがって煮え花がなみなみ(なミナミ)立ってくると火を弱める。すると水気が少なくなってきてだんだんと煮え沈む。(二えシずむ) これも東西南北の元です。
大昔は月に2回の食事だったが、月に3回の食事をするようになると寿命は百万歳となり、月に6日の食事をするようになって2百万歳になりました。
今は1日に一回の食事をするようになったので2万歳までしか生きられなくなりました。美味しいからといって食欲に任せ、食べ過ぎると長生きできません。
なので天神(あまかみ)になる様な人は月に3回の食事を心がけて苦菜の葉や穂を食べるのです。そうすれば南に昇った太陽の様に活き活きと長生きできます。
その様に生きたいと願い宮は南向きに立てます。宮の後ろを北と言います。夜太陽が地面の裏側「東(キ)の左(タ)」を通っている時に人は寝(ネ)るので北を「ネ」とも言います。
太陽の動きだけでなく、米が炊かれる行程も由来となっているようです。
それにしても月に数回の食事で百万年の寿命があるとは恐ろしい。
古事記でもかなり長生きする神様が出てきます、あれは春秋に二回歳をとるからとの解釈をしてましたが、、、それでも計算合わないですね。
どこかで老いは食事をする事から発生するとの話を聞いた事があります。
それを自分の身体で実験する人もいたみたいでその実験記録を本にしているらしいですが、読むとちょくちょくつまみ食いしてるみたいですw
長生きするために食べる苦菜とはチヨミ草と言うらしくネットで調べてみたら菊の事らしいです。
菊と言えば十六菊花紋を連想させられますね。自分の田舎でも菊祭りで菊人形を飾ったりして幼い頃よく見に行った記憶があります。
いずれにしても菊は長寿の象徴として大昔から大事にされていたのだと思います。
最後に北の由来も出てきました。
これで一応東西南北の由来が理解できました。
もしひときたり
ことわけん あわねばきたよ
あふはひで みなみにことお
わきまえて おちつくはにし
かえるきた ねよりきたりて
ねにかえる きはばるわかば
なつあおば あきにゑもみぢ
ふゆおちば これもおなしく
ねはきたに きざすひかしや
さにさかゑ つはにしつくる
をはきみの くにをさむれは
きつをさね よもとなかけり
きはひがし はなはもみなみ
このみにし みおわけおふる
きのみゆえ きみはおめかみ
もし人が尋ねて来て口喧嘩をしてしまった場合、もう会わないと思うと心が寝(ネ)てしまった様なもので、それは北の方角です。逆に自分にも非があると反省してまた会おうと思えばそれは日の出でお互いの心が通って太陽が南に達したように道理が通り上手く行きます。
活気に満ちて心が高揚する時は南向きの状態ですがしばらくすると収まり落ち着いた状態になる。これが西向きの状態です。そして尋ね人が帰って行くのが北です。
このように人の心の状態も、お客様の来訪も、北に始まり北に終わります。
次に木に例えます。
木は春に若葉を出し、夏に青々と茂る。秋には紅葉し、冬には枯れ落ち葉となる。
冬の状態は木が寝(ネ)ている状態で、春に生命の息吹を兆す(キざす)のが東。夏には太陽の光をたくさん受けて葉を茂らせ栄える(サかえる)、秋にそれが尽き(ツき)ます。
この様に季節の移り変わりも方角に例えられます。
央(ヲ)は君(天神・あまかみ)が居る場所で国の中心です。
東西央南北(キツヲサネ)は四方(ヨモ)と央(ナカ)。つまり君が治めている国全体を指す言葉です。
さらに、木は東、花と葉が南、実が西にも例えられます。
実が元の木から離れ種を増やしていきます。人の世も同じく子の身を分けて子孫繁栄になるので君(キミ)は木(キ)と実(ミ)の関係に例えて夫婦神(オメカミ)の事を言うようになりました。
東西南北の由来がたくさんありますね。四方と中心を合わせて国となる。ヨモとナカ。これが現代では世の中と言われる元になっているのはないでしょうか。
ここまでで東西南北の話は終わり、次にもう一つの章タイトルにある穂虫の話に移っていきます。
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