御機の四 日の神の瑞御名のアヤ②

いさなみの ちちにもふして
よゆぎこも がなとおほせば
うらなひて つきかつらきの
いとりやま よつきやしろの
いろしては あめのみをやに
いのらんと とよけみつから
みそきして やちくらちきり
ぬきんつる いつちかみのり
とほりてぞ あめのみをやの
まなこより もるるつきひと
あもとかみ みそふのかみの
まもるゆえ こたねなること
をぼゑます このころぎみは
はらみやま のほりていわく
もろともに くにくにめくり
たみおたし ひめみこうめと
つぎこなく たのしなきとて
いけみつに たのめおあらひ
ひるにのり かのめおあらひ
つきにのり ゐしこりとめが
ますかがみ ゐつくりしすむ
いさなぎは あめおしらする
うつのこお うまんおもひの
ますかがみ まてにひるつき
なつらえて かみなりいでん
ことおこひ くびめぐるまに
あくりこふ かくひおつめて
みたまいる かどはちりけの
あやところ おこなひちかに
なるころは しらはぎそみて
さくらいろ あるひをかみが
をゑとえは ひめのこたえは
つきのをゑ ながれととまり
みかののち みのきよけれは
ひまちすと をかみもゑみて
もろともに おがむひのわの
とびくたり ふたかみのまえ
おちととむ をもわすいたく
ゆめここち さねてうるほひ
こころよく みやにかえれは
やますみが ささみきすすむ
かれをかみ とこみきしるや
めのこたえ ことさかのをが
みちきけは とこみきはまつ
めがのみて のちをにすすむ
とこいりの めはことあげず
をのよそゐ めがしりとつく
したつゆお すえばたがゐに
うちとけて たましまかわの
うちみやに やとるこたねの
とつきのり こおととのふる
とこみきは くにうむみちの
をしゑぞと

イサナミは父であるトヨケ大神を訪ねて何とかして世継ぎ子が欲しいが授かりませんと訴えました。

トヨケ大神はフトマニで占い、ツキカツラギのイトリ山の世継社を建てて色
幣(イロシデ)を捧げ、そこに篭ってアメノミヲヤカミに祈りました。そして自ら八千回の禊を誓って実行しました。必死の祈りが聞き届けられたかの様にアメノミヲヤカミの眼に日と月の光が差し、それを取り巻くアモトカミやミソフカミが祝福の笑みを浮かべた情景を幻視したので、世継ぎ子を得る確信を持ちました。

この頃、イサナギ・イサナミの両神は、ハラミ山に登って述壊されました。二人で日本中を巡り、人々の生活安定を計り、姫御子を一人もうける事ができたが、世継ぎの皇子が得られなければ心安らかに過ごせない。

両神は世継ぎの子の誕生を願って、富士の湧水で左目を洗っては日の御霊に祈り、右目を洗っては月の精に祈りました。
両神の側近で鋳造技術に優れているイシゴリドメ(石凝戸辺)がマス鏡を造り奉りました。イサナギは天を納める器量を持った皇子を授かりたい一心で両手に持ったマス鏡を日霊と月精に例えて、人として顕現することを願って、首を巡らすたびに降臨を願いました。

こうして、日を積んで行くうちに、御霊がチリケ(身柱・第七頸椎の急所)から身体に入り込んで行くように感じ出しました。これが千日にも達する頃、イサナギの白い脛が血の気を帯びて桜色に染まってきました。

ある日イサナギはイサナミのに生理の経過を聞きました。イサナミは「ツキノオエ(月潮)は流れ止まって三日経ちました。今は身も清く、日の御霊を受け入れるのに最適な時ですので、お待ちしております。」と言いました。
イサナギも微笑んで二人して拝むと、眩い光が辺り一面を覆い。日輪が飛び降って目の前に落ち止まったかの様に見えました。両神は時を忘れて過ごし至福の思いに満たされました。

宮に帰るとオオヤマスミもこれを察知してササ神酒を用意して待ち構えていました。イサナギがイサナミに床神酒の作法を知っているか?と聞くと、イサナミはコトサカノヲから受けた教え(まず女が床神酒を飲み男に勧め、男が装うのを女が知って初めてトツギが成り立つ「トツギノリ」)を説明しました。

なかなか子供を授からなかった両神ですが、非常に長い期間禊を行ったとありますね。この時代から既に妊娠するためのプロセスを知っていて、計画的に実施していたことに驚かされます。

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